歯周病におけるメインテナンスとクリーニングの違い
この違い、ご存知でしょうか。
とても大切なことですので、よろしければお読みくださいね。
クリーニングするのは可能なのですが、「クリーニングのみ」は健康を損なうリスクがあります。
例えば「明日、結婚式で‥」とか、「大切な商談が‥」とかで一時的に着色をとってキレイにするのは大きな意味がありますし、もちろんそれは大事なことです!
分かりやすい表現としては、
クリーニング=洗車
メインテナンス=車検
です。当院においてはメインテナンスの中に、クリーニングは包含されます。
クリーニングとは、歯ぐきより上の(←これが重要)汚れ、歯石を取ることと着色をとってみがくことを指します。歯ぐきより上の歯石は「縁上歯石」と言い、クリーム色の軟らかい歯石です。歯周病学的には、病気を進める大きな原因は歯ぐきより下、内部の歯石です(←これも重要)。この病原性が強いのです。この歯ぐきより下の歯石を「縁下歯石」と言い、歯ぐきの血液の成分を取り込むため黒色で硬いものです。
ある程度進んだ歯周病では、一度だけのクリーニングでこの縁下歯石を取り切ることは困難です。なぜなら、クリーニングでは歯ぐきの上部しか触れないからです。もちろん軽度の方、予防的な状態の方は十分可能な場合もあります。
では、歯ぐきの内部を歯石が付着しているかはどうやって分かるのか??それは、歯周病の精密な検査をしなければ分かりません。歯周ポケット、出血の有無を1本の歯について6か所。多い人で180か所くらい測定します。この検査をもとに、3〜6回ほどかけて縁上、縁下の歯石をすべて取り除くのが歯周病治療の基本です。
この治療によって歯周組織が治癒したあとに、改善した組織を再発させないために行うのが「メインテナンス」です。車検で故障箇所をみる感じですね。
歯周病という病気は「痛みがなく進む」ということが多いのです。進行しても気づかず、グラグラで抜けるまで痛まない人もいます。メインテナンスで状況を把握するのが大切です。
その患者さんのリスクに応じて、毎回検査をして。初診の状態に近づく兆しがないか?それを確認します。怪しければその時点で手が打てて、悪化を防ぎます。その最後に行うのが、本来必要なクリーニングです。
「定期的にクリーニングしているのに重度の歯周病」という状態の患者さんが来院されることがあります。一概には言えませんが、歯ぐきより上しか掃除していないと、その内部でどんどん病気が進むことがあります。
いつでも完璧な状態を保つのは至難です。患者さんの人生にはいろいろイベントがあって、歯みがきどころじゃない日々だってあります。だけどそれをリカバリーできるのが私たちです。
患者さんの日常生活の中で、どれだけ快適においしく食べられるか。これを保つためにメインテナンスはとても重要です。心配なことがあれば、お気軽にご相談くださいね。